繰り返しのある分散分析(ANOVA)の結果を読み解く

内容

  1. 1 多変量解析
  2. 2 Mauchlyの球面性検定
  3. 3 被験者内要因の検定
  4. 4 被験者間要因の検定
  5. 5 記述統計
  6. 6 対判定比較
  7. 7 プロット

多変量解析

繰り返しのあるデータでは、繰り返しのあるデータと共に多変量検定を出力します。この有意P値は、因子が従属変数に影響を与える事を示します。繰り返しの観測によって、標本間の効果の違いを見る事ができます。一般的に、多変量検定繰り返しのある分散分析よりも正確性などが劣るので、可能な限り避けた方がいいでしょう。しかし、標本数自体がそれなりに大きく、球面性が著しく違反されている時は、多変量検定の方がより強力に判別できるので、優先されるべきです。Originは4行、Pillaiのトレース, Wilksのラムダ, Hotellingのトレース, Royの最大根の出力を行い、これらの行はそれぞれの多変量検定の結果を出力します。さらに、全ての手法はF(自由度の)数DF(自由度)、確率>Fの5つの情報を表示します。確率>Fは有意水準で、平均は確率>0.05の有意差があるものを示します。Wilkのラムダ検定は一般的に使用されていますが、常に最良の選択ではありません。Pillaiのトレースは最も強力で堅牢なので、頻繁に使われています。Royの最大根はF値の上限を示しているので、Fの確率について下限推定を行えます。つまり、Royの最大根は、他の検定が有意ではない場合は無視してかまいません。

Mauchlyの球面性検定

球面性は繰り返しのある分散分析では重要な仮定の一つです。可能性のある全ての組合わせにおいて、対のグループ間の差の分散が等しい状況を示します。Mauchlyの球面性検定球面性の仮定が棄却されていないかどうか調べる際に良く使用されます。もしMauchlyの検定の検定統計量が0.05以上ならば、球面性の仮定は棄却されずにそのままになります。しかし、Mauchlyの検定統計量が0.05よりも小さい場合、球面性は仮定できません。それにより、第1種の過誤(αエラー)を引き起こす可能性が高くなるので、自由度に修正を行って有効なF比率を入手する必要があります。エプシロンを評価する事で、その球面性が仮定できないのか、度合いを見る事ができます。エプシロンが1と等しい場合、球面性から離れていない事を示します。エプシロンの値が小さいと、より球面性の仮定から離れている事を示しています。

Originでは、 Greenhouse-Geisser, Huynh-Feldt, 下限の3つの手法を利用してエプシロンは生成されています。エプシロンを評価する事で、その球面性が仮定できないのか、度合いを見る事ができます。

被験者内要因の検定

対象内効果を測る方法は球面性の仮定, Greenhouse-Geisser , Huynh-Feldt, 下限の4つがあります。通常、球面性検定を使用できます(Mauchlyの検定の確率>F値が0.05以上の場合)が、球面性の仮定ができている場合でも統計的な修正が必要になってきます。3つの修正のうち、下限修正が最も保守的で、Huynh-Feldtが一番保守的ではありません。一般的に、エプシロンの値が0.75よりも小さい場合はGreenhouse-Geisser修正が使われます。エプシロンが0.75に近い、あるいは大きい場合、Huynh-Feldt修正が利用されます。上記手法では修正を行う事ができない場合、エプシロンの下限修正を使用します。

被験者間要因の検定

対象間効果の測定検定は、各対象どうしの関係の因子を作成したデザイン内で測定します(繰り返しのある二元配置の分散分析は、1つの因子は対象間因子として設定できます)。また、対象間の相互作用のみの因子を含む場合(最低、2つの対象間因子)、二乗和DF二乗平均F確率>Fを含む概要が表示されます。

記述統計

この表はいくつかの因子と対象に対しての統計量を表示します。

対比較

分散分析では、有効なオムニバスの検定結果を得てから複数の比較手法が使われています。分散分析の有意な結果は全体的な帰無仮説H0、を棄却できることを示しています。つまり、比較されたグループ同士の平均は全て同じであることを意味しています。この中でどの平均が異なっていたのかを見極めるのに複数比較を行います。Originは平均比較を行う手法を全部で8つ準備しています。それらは、Tukey, Bonferroni, Dunn-Sidak, Fisher LSD, Scheffe, Dunnett, Holm-Bonferroni, Holm-Sidakです。

Tukey 全ての標本数が等しい場合、標本の信頼係数はきっかり1になります。標本数が等しくない場合、信頼係数は1よりも大きくなるのでTurkey手法は棄却されません。
Bonferroni これはシンプルな手法で、多くの比較内容を作成(あるいは、信頼区間を生成)でき、全体的な信頼係数は保持されます。Bonferroni手法は保守的で、帰無仮説をそれほど頻繁に棄却する訳ではないので、堅牢性は劣っています。この手法は、その柔軟性と簡単さからpost-hoc 検定として使われています。
Fisher's LSD Fishers LSD 検定は、第1種過誤を十分にコントロールできないという批判を受けています。この検定は、全体的なF検定が有意で、対象内の比較数値が小さい場合のみ使用してください。
Scheffé 比較数が小さい場合、Schefféはとても保守的(Bonferroni以上)です。Schefféは多くの比較と複数の比較がある場合、より強力な手法になります。Scheffé検定の使用をおすすめするのは、複数のpost-hoc複雑比較が行われるときのみです。
Dunnett 他の複数比較手順と比べると、Dunnett検定はこの状況下では実際の差を探すことができます。これは、各効果の処理を行った対象と標準としている対象のみを比較している、全体の各対の差についての差分ではない、からです。
Dunn-Sidak 比較する数が大きい場合、Dunnett検定よりも強力です。
Holm-Bonferroni この手法は、Bonferroni手法よりも保守的ではなくより強力です。Bonferroni-Holm手法では、帰無仮説を棄却する可能性が高くなります。
Holm-Sidak この手法はHolm検定の修正バージョンで、とても強力かつ多方面で使用できます。しかし、信頼区間を算出することはできません。

プロット

Originは横棒グラフ平均値プロット(SEをエラーバー表示)平均比較プロットの3つを準備しています。繰り返しのある一元配置の分散分析は上記3つを全て選択できますが、繰り返しのある二元配置の分散分析では使用できません。