アルゴリズム(対応のあるデータのWilcoxon符号順位検定)


最初の母集団の中央値が2番目の母集団の中央値と同じかどうかを検定するには、対応のあるデータのWilcoxon符号順位検定を実行を実行します。最初の母集団と2番目の母集団の標本サイズは同じにします。

  1. この場合、\{x_i,y_i\}\,\!,i=1,2,\ldots ,n帰無仮説 H_0\,\!は、中央値が同じということで、対立仮説 H_1\,\!は、片側または両側にすることができます。Wilcoxon符号順位検定は、スコアの符号だけでなく、スコアの大きさが考慮されるという点で符号検定とは異なります。
  2. この場合、\{x_i,y_i\}\,\!i=1,2,\ldots ,nに対して、符号の差 d_i=x_i-y_i\,\! を計算します。
  3. 絶対値の差 \left| d_i\right| が順位付けされ、どの同順位の値でも \left| d_i\right| が同順位の平均に割り当てられます。ユーザは、順位付けの前後でそれらを削除することで、d_i=0\,\!であるような、さまざまなケースを無視するかどうかを選択することができます。
  4. ゼロでないd_i=0\,\!の数が調べられ n_1\,\!で表されます。
  5. 各符号に、対応する d_i=0\,\!の符号が付加されます。s_i=sign(d_i)r_i\,\!とします。
  6. 正の符号順位の合計 W_1=\sum_{s_i>0}s_i=\sum_{i=1}^n\max (s_i,0) は次の式で計算できます。
  7. 片側の確率 P\,\! ( W\,\!に対応)は、対立仮説H_1\,\!の選択に依存します。n_1\leq 80の場合、P値は厳密に計算され、それ以外では、Pへの近似値が返されます。この近似は、正規検定統計量Z\,\!の近似に基づいており、 これは  z=\frac{(W-\frac{n_1(n_1+1)}4)-\frac 12\cdot sign(W-\frac{n_1(n_1+1)}4)}{\sqrt{\frac 14\cdot \sum_{i=1}^nS_i^2}}で計算されます。

P\,\!の値は、対立仮説に対する中央値の有意差検定を実行するのに使用されます。\alpha\,\!を有意差検定の大きさにします。(つまり \alpha\,\!H_0\,\!が真のときに H_0\,\!を棄却する確率です。)P<\alpha \,\!の場合、帰無仮説が棄却されます。通常、\alpha\,\!は、0.05 または 0.01です。

このアルゴリズムの詳細は、nag_wilcoxon_test (g08agc)をご覧下さい。